TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)とは、G20の要請受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立された「気候関連財務情報タスクフォース」を指します。
また、TCFD提言は企業等に対して、自社のビジネス活動に影響を及ぼす気候変動の「リスク」と「機会」について把握し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の項目について開示することを推奨しています。
当社グループでは、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会について、TCFD提言に基づく検討をおこない、さまざまな対応策を講じるとともに、継続的な情報開示に努めています。
気候変動問題は、当社グループにとって重要な経営課題と認識しています。環境に負荷をかけない建物を開発・運営することは、企業の社会的使命であると同時に、企業価値の向上や収益拡大にもつながると考えています。一方、異常気象・自然災害の激甚化や環境規制の強化による事業への影響が顕在化するリスクが高まっています。
グループ一丸となり気候変動対応に取り組むべく、グループ横断型の環境推進体制の構築に向け取り組みを進めていきます。
シナリオ分析とは、地球温暖化や気候変動そのものの影響や、気候変動に関する長期的な政策動向による事業環境の変化等にはどのようなものがあるかを予想し、そうした変化が自社の事業や経営にどのような影響を及ぼしうるかを検討するための手法です。不確実性の多い世の中において、これまでの事業の前提が大きく変わってしまう場合の事業影響を検討するために利用します。
気候変動に伴うリスクと機会は、自社の事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、以下のプロセスを通じて気候変動に伴うリスクと機会を特定し、1.5℃シナリオおよび4℃シナリオを用いて分析し、重要性を評価しました。
脱炭素社会に向かう1.5℃シナリオと温暖化が進む4℃シナリオを用いて、分析・評価を行いました。
1.5℃シナリオは、SSP1-1.9※1※2。4℃シナリオは、SSP5-8.5※3を用いました。
シナリオ | 想定される社会環境 | |
---|---|---|
1.5℃シナリオ | 世界がネットゼロへ加速化するシナリオ (規制が広く導入され気温上昇抑制に成功するが、移行リスクが高まる) |
炭素税や化石燃料関連の規制強化、さらにエシカル消費の拡大など、社会全体が脱炭素に向かい、温度上昇の抑制に成功するシナリオ |
4℃シナリオ | 温室効果ガス排出規制が強化されず、気温上昇が促進されるシナリオ (規制が限定的なため温暖化が進行し、物理リスクが高まる) |
規制が限定的で温暖化による自然災害が頻発し、ビジネスの停止リスクが高まるシナリオ |
リスク 区分 |
リスクの類型 | ドライバー | 発生時期 | 総合影響度 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
短期 (~2025) |
中期 (~2030) |
長期 (2031~) |
1.5℃ シナリオ |
4℃ シナリオ |
|||
移行 リスク |
政策・ 法規制 |
|
● | 大 | 小 | ||
市場 |
|
● | 中 | 小 | |||
|
● | 中 | 小 | ||||
|
● | 小 | 中 | ||||
評判 |
|
● | 大 | 小 | |||
物理 リスク |
急性 |
|
● | 大 | 大 | ||
|
● | 中 | 大 | ||||
|
● | 小 | 大 | ||||
慢性 |
|
● | 中 | 大 | |||
|
● | 小 | 大 | ||||
|
● | 小 | 中 |
機会の 類型 |
ドライバー | 発生時期 | 総合影響度 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
短期 (~2025) |
中期 (~2030) |
長期 (2031~) |
1.5℃ シナリオ |
4℃ シナリオ |
|||
エネルギー・ 資源効率性 |
|
● | 中 | 小 | |||
|
● | 中 | 小 | ||||
製品と サービス |
|
● | 大 | 小 | |||
|
● | 大 | 小 | ||||
市場 |
|
● | 中 | 小 |
サムティグループでは、今後強化される環境規制への対応として環境マネジメント体制の強化を行います。
環境マネジメント体制のもと、行動計画やCO₂の排出削減目標の策定、建物の環境認証取得や設備更新を積極的に行い、サステナビリティ経営を推進していきます。
気候関連のリスクおよび機会について、短・中・長期の時間軸で整理を行いました。
気候関連リスクについては、当社におけるグループ重要リスクの一つとして当社グループの戦略に反映し、対応していきます。
当社は、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、2030年11月期までのCO₂(Scope1+2)削減目標を20%(2022年11月期比)と策定しました。
今後、Scope3の排出量の算出、集計データのバウンダリーを拡大していきます。
2021年11月期 | 2022年11月期 | |
---|---|---|
スコープ1 | 1,200 | 1,427 |
スコープ2 | 2,397 | 2,797 |
スコープ1+2 | 3,597 | 4,224 |
当社グループでは、脱炭素社会の実現に向けた施策として、トヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI」を導入しました。
水素で作った電気の力で走行し、地球温暖化の原因となる排出ガスを出さないことから、走行距離の長い社用車の脱炭素化に寄与します。